不正咬合の種類
人それぞれ顔が異なるように、不正咬合には様々なタイプがあります。
主に上下顎のズレの方向により生じる、①上下的不正や、②前後的不正、③側方的不正、そして④叢生(歯並びがガタガタになる)といった例が挙げられます。
前後的不正の代表的な症例が、上顎前突と下顎前突、いわゆる「出っ歯」と「受け口」です。
不正咬合の治療を受ける患者さまにもっとも多いケースでしょう。ほかにも前歯で噛めない開咬や、咬み合わせが深すぎる過蓋咬合は上下的不正となります。
噛み合わせが側方的にずれている交叉咬合や、叢生の代表的なものは八重歯とそれぞれ分類される。①~④が独立して存在するというよりは、①と④や、②と④などを併せ持つことが多いです。
まれに①~④すべてを併せ持つこともあります。
治療の時期
矯正治療は、歯周組織が健全であれば何歳でも可能ですが、最適な時期は症例により異なります。
一般的に、骨格に原因がある不正咬合(上顎前突・下顎前突・開咬・過蓋咬合・交叉咬合)は成長期(小学生ごろから)に治療開始するのがよいです。歯性の不正咬合はいつでも治療可能です。しかしながら外傷性咬合とか、その症状を改善しておかないと将来本格的な矯正治療(第2期治療)の際に不利益になるもの、あるいは不良習癖が原因で不正咬合を呈しているものは、早期より習癖の除去に努めたほうがよいです。
成長期に治療を行う目的は、上下顎骨の成長発育のコントロール(誘導)と側方偏位の改善、著しく不正な位置にある歯(埋状歯も含む)の萌出誘導、狭搾歯列(歯列の幅が狭い)に対する側方拡大などがあげられます。
そのほか、前の方へずれてしまった大臼歯を正しい位置に戻す、あるいは機能的な障害の除去といったことが中心であり、その時々の状態に応じた処置を行うべきです。
そして永久歯列時、D.B.S(ダイレクトボンディングシステム) -エッジワイズ法- を行いますが、症例により開始時期、抜歯部位、非抜歯を検討する必要があります。
医院選びのポイント
矯正を専門とする矯正歯科と虫歯や歯周病などの治療を専門とする一般歯科では、治療の内容も医師に必要とされる技術も大きく異なります。矯正についてしっかり勉強されている一般歯科の先生ももちろんいらっしゃいますが、基本的に普段虫歯治療を主に行っている歯科医は、虫歯治療の腕は良くても矯正治療に関する経験と技術が十分とはいえないケースが多くなります。歯の動きや治療後の状態を正しく予測して治療計画を立てるためには、豊富な臨床経験が必要不可欠です。後悔しない矯正治療を受けるためには、ぜひ矯正専門医院で治療されることをお勧めします。あとは、相性の良い歯科医院と巡り合えるかどうかは「縁」が左右する部分も少なくありません。